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「二輪車市場動向調査」の結果を読む 新車購入者にみる変化のポイント

『2019年度 二輪車市場動向調査』の結果によると、新車(二輪車)購入者の平均年齢は54.7歳。50~60代が新車購入の中核をなしている。購入した二輪車への満足度は、すべての項目で期待度を上回り、スピード感や爽快感、渋滞にまきこまれない特性が評価された。また、二輪車駐車場の整備、任意保険料の低料金化、高速道路の低料金化などがユーザーから期待されている。


一般社団法人日本自動車工業会(自工会)は、「2019年度 二輪車市場動向調査」を実施し、今年4月8日、結果を発表した。この調査は隔年で実施しているもので、二輪車を新車で購入した人の属性や使用状況などを把握する「新車購入ユーザー調査」と、市場活性化のヒントを探る「トピック調査」との2本立てとなっている。
 とくに「新車購入ユーザー調査」は、過去からおおむね同じ設問を続けており、新車購入者の特徴や使用実態の変化などを読み取ることができる。この記事では、今回の「新車購入ユーザー調査」の結果のなかから、大きな変化がみられた事柄や、注目すべき傾向をいくつか読み解きたい。

●新車購入ユーザー調査の概要

新車を購入する世代は「50~60代」がメイン

今回の2019年度調査で、二輪車を新車で購入した人の平均年齢は54.7歳で、前回の2017年度調査から2歳上昇した。(次頁グラフ参照)
 世代構成率を見るとボリュームゾーンは「50代」の30%で、「60代」も26%と多い。“人生100年時代”といわれるが、いまや50~60代が元気なことに違和感はない。「70代以上」の12%を含め、二輪車の新車購入は、50代以上が全体の68%を占めている。

●新車(二輪車全体)購入者の世代構成

近年の二輪車販売は、原付一種(~50cc)が減少傾向にあるが、原付二種(51~125㏄)は横ばい、軽二輪(126㏄~250㏄)と小型二輪(251㏄~)は微増傾向にある。
 それを踏まえて“排気量×タイプ別”で世代構成率を見ると、近年売れている「126~250㏄ オンロードタイプ」は、50代が30%(前回から8?増)、60代が20%(同6?増)となり、いわゆる1980年代の“バイクブーム世代”が、新車の軽二輪スポーツに回帰してきているものと推察できる。

●新車(126 ~ 250㏄ オンロード)・世代構成

この傾向は、製品価格の高い「401cc~ オンロードタイプ」ではより顕著で、50代が48%(前回から8?増)、60代が20%(同9?増)となった。最新の大型オンロードモデルに食指が動き、なおかつ購買力のある50代以上が、このクラスの新車市場をいっそう強力に牽引していることがわかる。

●新車(401㏄~ オンロード)・世代構成

一方、新車を購入した「40代」の構成率は、今回17%(前回から3?減)。30代以下は合わせて12%(同6?減)となった。より若い世代の構成率が減っているのは、たんに“若者のバイク離れ”と断じるのは早計で、若い世代が中古車市場へシフトしている可能性など、さらに検証してみる必要がありそうだ。

軽二輪スポーツのヘビーユーザーが増加

2019年度調査にみる新車購入ユーザーの週間使用日数は、全体平均で3.7日。前回調査から0.2?減少した。これに伴って、新車購入ユーザーの月間走行距離は、今回の全体平均が239kmで、前回調査から26km減少した。(次頁グラフ参照)
 これを“排気量×タイプ別”で見ると、とくに「126~250㏄ オンロードタイプ」では、週間使用日数が調査回ごとに減少しているなか、月間走行距離が300kmを超す“ヘビーユーザー”の構成比は減っておらず、ツーリングなどでの長距離走行は減っていないものと考えられる。近年の二輪車市場において、趣味性の高い軽二輪スポーツの人気が反映された変化・傾向といえそうだ。

週間使用日数と月間走行距離<全体>
週間使用日数と月間走行距離<オンロード>

新車への満足度は期待度より高い

「新車購入ユーザー調査」では、購入した新車に対し、事前に抱いた期待度と、使用した後の満足度について、さまざまな項目ごとに比較している。(次頁グラフ参照)
 期待度が最も高い項目は「燃費がよい」で、全体の72%から期待されている。続いて「自転車に比べて楽に移動できる」69%、「身軽に動ける」63%、「維持費が安い」60%、「交通の不便さが解消できる」55%などとなっている。
 こうした事前の期待に対して、使用してからの満足度との“差”に注目してみると、じつにすべての項目で満足度が上回っていた。とくに差が大きかったのは、「スピード感を楽しめる」が、期待度35%⇒満足度46%(11?プラス)でトップ。「乗っていて爽快感を味わえる」が期待度52%⇒満足度60%(8?プラス)、「交通渋滞に巻き込まれなくてすむ」が期待度48%⇒満足度56%(8?プラス)などとなっている。
 一方、差が小さかったのは、「身軽に動ける」期待度63%⇒満足度64%(1?プラス)、「駐車スペースを気にしなくてよい」期待度42%⇒満足度43%(1?プラス)、「維持費が安い」期待度60%⇒満足度62%(2?プラス)などとなっていた。

購入した新車(二輪車全体)への期待度と満足度の比較

期待される二輪車周辺のインフラ・制度の整備

調査はほかにも、二輪車の楽しみ方について、ツーリングやサーキット走行などレクリエーションの経験や、グローブやウエアなど関連用品の所有状況、二輪車の購入時の決め手となった要素などについて結果をまとめている(報告書を参照されたい)。
 さらには、二輪車を取り巻く周辺(施設やインフラ、制度など)に関して、二輪車ユーザーが何を期待しているかも明らかにしている。その結果を見ると、「二輪専用駐車場の整備拡大」と、「任意保険料の低料金化」への期待が最も多く、全体の45%が改善を求めている。
 ほかにも、「原付免許での運転可能排気量の拡大(125ccまで)」35%、「高速道路の低料金化」35%、「二輪車駐車場の低料金化」26%、「二輪車走行禁止区間の廃止」25%など、制度の見直しへの期待は大きい。

二輪車の周辺への期待(施設・インフラに対する期待)

この記事では取り上げなかったが、2019年度の「トピック調査」は、①レンタルバイクなどにおける二輪車のサブスクリプション(定額)の受容性、②一般の人々のニーズに合う二輪車ベネフィットの発掘、③求められる「あるべき販売店」と実際との差、④乗り換え需要の動機把握の4つをテーマに結果をまとめている。
 詳しい調査結果は、以下のウェブサイトからPDFデータを入手し確認されたい。

2019年度二輪車市場動向調査

●問い合わせ先
一般社団法人日本自動車工業会
TEL:03-5405-6179

参照元サイト

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